症状
急にトイレに行きたくなり、間に合わないかもとヒヤヒヤする
家事や電話中にすぐトイレに行きたくなる
夜、何度もトイレに起きてよく眠れない
尿がもれて恥ずかしい思いをした
長時間の外出を避けている
トイレが気になって旅行を楽しめない
過活動膀胱の症状は、尿意切迫感=我慢できない強い尿意、を感じることが大前提の症状症候群で、図のように、通常は頻尿と夜間頻尿を伴い、尿漏れがある場合とない場合があります。いずれにせよ、突然我慢できない尿意を感じるため、日常生活に支障が生じます。
性別、年齢、原因疾患により治療方法はやや異なりますが、生活習慣と過活動膀胱は関係があるとされ、①肥満の改善 ②運動療法 ③食事療法 ④便秘改善 ⑤過度のカフェイン、アルコール、炭酸飲料の摂取を避ける ⑥長時間の座位を避ける、ことなどにより症状の改善が期待できます。
生活習慣の改善と同時に、症状に応じた内服治療を行えば、さらに日常生活の苦痛も軽減されます。OABの治療薬には1)抗コリン剤 2)β3作動薬の2種類があります。
抗コリン剤は膀胱の異常な収縮を抑える働きがあり、β3作動薬は膀胱の筋肉を緩めます。症状のある方はぜひ当院にご相談ください。
排尿回数が増え、排尿時に残った感じや痛みがあれば、単純性の細菌性膀胱炎を疑います。
単純性とは、膀胱炎を引き起こすほかの泌尿器科的病気を合併していないということです。細菌の多くは大腸菌によることが大半です。女性は外陰部の解剖学的特徴から、尿道周囲の細菌が膀胱内に入りやすく、男性に比べて膀胱炎になりやすいのです。
膀胱炎症状があるときは、外陰部を清潔に保ち水分を多く取り、排尿を我慢しないことが大切です。そして早めに受診してください。
抗生剤を5日位飲むとほぼ治ります。膀胱炎を繰り返す場合ですが、これは膀胱にできた結石、先天性奇形、腫瘍など他の泌尿器科的病気を合併していることがあり、専門医による検査が必要となります。また、排尿したいという感覚は緊張状態など気持ちの持ち方で変化を受けやすく、膀胱炎と同様の症状にもかかわらず膀胱炎ではない場合もあります。これは神経性頻尿と呼び精神的に緊張状態が続いた状態です。
尿失禁とは、尿が自分の意志とは無関係に漏れる状態です。下着がぬれるため、尿臭など社会的、衛生的に問題となります。
尿失禁は ①腹圧性尿失禁 ②切迫性尿失禁 ③混合性尿失禁 ④溢流性尿失禁 ⑤機能性尿失禁、に分類されます。
①の腹圧性尿失禁とは、咳、くしゃみ、笑う、重いものを持つ、急に立ち上がる、などの腹圧が急にかかる動作によって生じる尿漏れで、多くは膀胱の出口の尿道に問題があり、子どもを産んだ経験のある中高年の女性に多く見られます。
②の切迫性尿失禁は、突然強烈な尿意を感じ(尿意切迫感)、トイレに行く途中で排尿するのが間に合わずに尿が漏れる状態で、多くは膀胱に問題があるために生じます。男女とも加齢に伴って発生頻度は増加します。
①と②を合併したものが③の混合性尿失禁で、腹圧性尿失禁の女性の約30%は切迫性尿失禁を合併すると言われています。
④の溢流性尿失禁は、膀胱に貯まった尿を出し切ることが出来ず、たらたらと漏れてくる尿失禁で、前立腺肥大症による残尿の増加、糖尿病などによる膀胱支配神経の障害などが原因となります。
⑤の機能性尿失禁とは、歩行障害などでトイレまで間に合わない、または認知症でトイレの場所がわからない、などで生じる尿漏れの状態です。
治療は、①行動療法として、水分やカフェイン接種を控える生活指導や、少しずつ排尿間隔を延長することにより膀胱容量を多くする膀胱訓練、が有効です。
②膀胱の収縮を抑える薬を内服する薬物用法では、現在様々なお薬が開発され、尿失禁が劇的に改善するようになりました。
腹圧性尿失禁は咳、くしゃみ、急に立ち上がる、などの腹圧が急にかかる動作によって生じる尿漏れで、多くは膀胱の出口の尿道に問題があり、子どもを産んだ経験のある中高年の女性に多く見られます。
治療は切迫性尿失禁と重なる部分がありますが、重症の場合は手術が必要となることもあります。
尿漏れは、いつ頃から、どのような時に、どのくらい漏れるのかを十分把握し、どの尿失禁の分類に当てはまるのかを正しく診断できれば十分コントロール可能です。
生活の質を良くするため、恥ずかしがらずに医療機関を受診することをお勧めします。
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