父親が前立腺癌で亡くなっており、PSA検診を受けました。「特に異常なし」との結果でしたが、前立腺癌は遺伝するものなのか教えてください。(長岡市52歳男性)
まるごと生活情報 2015年04月25日号掲載
A. 前立腺癌は遺伝性のある癌といわれています。
前立腺癌の直接の原因は正確にはわかっていませんが、複数の要因が癌発生に関与しています。精巣で作られる男性ホルモンの関与は必須ですが、そのほかに①年齢②遺伝③人種差④生活習慣、などが癌発生の危険因子となります。
前立腺癌は典型的な高齢者発生癌であり、50歳以後の男性では年齢とともに発生率が高くなります。特に60歳以上の男性では急速に患者数が増加します。
遺伝に関しては、父親が前立腺癌の場合、その息子が前立腺癌になる確率は、そうでない場合に比べて約2倍になるといわれています。特に、父親、兄弟に2人以上癌患者さんがいると、癌になる危険率は5~11倍になるとの報告もあります。
人種差による癌発生率は、地域差はあるものの、黒人、白人、アジア系人種の順に高くなります。
肥満、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病が癌発生に関係がある、との報告もあります。 前立腺癌は遺伝性癌といわれていますが、遺伝性であっても癌の発症には環境が強く関与しています。癌を発症させない規則正しい生活習慣とPSA検診による早期診断により、前立腺癌による死亡率は確実に減少すると考えています。