近ごろ「かかりつけ医」という言葉を耳にしますが、どういうお医者様のことですか?
まるごと生活情報 2002年11月23日号掲載
豊富な経験と、治療に必要な「幅広く証拠に基づいた知識」を持った地域の相談医、いわばホームドクターです。
「かかりつけのお医者さん」と聞くと、診てもらっただけで気持ちが楽になる、という一昔前の医者の姿を想像します。でもいま、地域の開業医に求められているのは、豊かな経験と証拠に基づいて患者の全身管理ができる医師だと思います。すべての領域で専門医であることは不可能ですが、少なくとも専門医としての診療だけではなく、各分野において最善の医療を提供しなければなりません。たとえば、からだの具合が悪くなっても何科にかかればいいのか悩んでしまうとき、分かりやすく説明を受けたい。自分のことだけでなく家族の健康状態についても気軽に話が聞きたい。こんな本音を相談できるのが「かかりつけ医」です。そのためには前述の経験と知識が必要なんです。皮膚科的な疾患で来院されても、ほかに内科的、外科的な相談やドナーカードの説明などを希望される患者さんもいます。急性湿疹などで受診された方に、高血圧の治療の必要性を説明する場合もあります。患者さんも「ただ皮膚さえ治ればいい」と考える人はさほど多くありません。また泌尿器科に関しても、一般 的には「恥ずかしい、おしっこに関する病気」といったイメージですが、そのような患者さんばかりではなく、内科や外科の視点が必要な場合も多いのです。わたしの医院は泌尿器科・内科・皮膚科が専門ですが、このような専門医であるからこそ、ホームドクターとして頭の先から手足まで、患者さんのニーズに合った全身的な診断・治療が可能なのです。あなたも自分のからだのことを何でも相談できるホームドクター・「かかりつけ医」を見つけることをお薦めします。