QUESTION

よくあるご質問

前立腺肥大症を放置すると前立腺癌になるのでしょうか?

まるごと生活情報 2003年06月28日号掲載

前立腺肥大症と前立腺癌は全く違う病態ですから、肥大症が癌になることはありません。

あらゆる臓器は年齢とともに萎縮して行きますが(例えば筋肉など)、前立腺に関して言えば、ある年齢までは必ず肥大します。以前お話したように、前立腺肥大症と前立腺癌は、発生部分が異なり違う病気ですから、前立腺肥大症が前立腺癌になることはありません。 しかし、症状が有る無しに関わらず、男性は必ず組織学的には前立腺肥大症になるので、前立腺癌はほぼ100%前立腺肥大症を合併することになります。多くの他臓器の癌と同様、前立腺癌特有の症状は存在しません。 前立腺肥大症は良性疾患ですから放置しても初期は生命に別状はありません。肥大症の典型的な症状は前立腺による尿道の圧迫症状によるもので、尿が出にくい(勢いが悪い、排尿しようとしてもなかなか出ない)、残尿感(排尿後も残った感じがする)、夜間頻尿(寝てから起きるまでの間に3回以上トイレに行く)、尿線が細いなどですが、極端な場合、尿閉といって膀胱に貯まった尿が全く出なくなり、妊婦のようなお腹になることがあります。この場合、管を膀胱に入れ尿を出すこともあります。残尿感だけでなく、実際に残尿量 (排尿後も膀胱に尿が残っている)が多いと、長期間で水腎症から腎機能障害を生じることもあります。この場合は生命に危険を与えることもあります。 「年を取ればおしっこが出にくいのは当たり前」と思わないで、年1回は泌尿器科専門医を受診し、エコーで膀胱、腎臓をチェックすることをお勧めします。

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