30歳を過ぎて、5年で10キロも体重が増えてしまいました。 どのような病気が考えられますか?(※前回の続きです)
まるごと生活情報 2004年10月23日号掲載
前回に引き続いてお答えします。
前回、肥満を引き起こす代表的病気がクッシング症候群と書きましたが、頻度は低く、1万人に2人くらいの割合とされています。 ですから、肥満であることは病的状態ではありますが、病気が原因であることはきわめて少なく、相撲取りに見られるように異常なカロリー摂取が原因であることがほとんどです。 「クッシング症候群」とは「アルツハイマー」と同様、病気を発見した医師の名前から命名されました。 脳の腫瘍が原因となることもありますが、何らかの原因で副腎(腎臓の上についている臓器)から副腎皮質ホルモン(いわゆるステロイド)が過剰に産生されることにより引き起こされます。 この病気は満月様顔貌(丸い赤ら顔)、手足が細いが中心性肥満、など体重増加と肥満を主とする副腎腫瘍の代表的疾患です。治療は、10年以上前までは開放手術を行っていましたが、1991年1月、私の出身である新潟大学腎泌尿器病態学分野で、郷・武田医師らが副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術を世界で初めて施行して以来、現在はほぼ全例内視鏡的手術が施行されています。