地震後よく耳にするエコノミークラス症候群って何ですか?
まるごと生活情報 2004年12月25日号掲載
簡潔な説明は難しいのですが、医学的には、血のかたまり(血栓)等により心臓から肺に行く動脈が詰まる病態です。
エコノミークラス症候群の名前の由来は、飛行機の狭いエコノミーシートから来ています。エコノミーシートのあまりの狭さに窮屈さを感じたことは皆さんも経験あると思います。 ご質問の答えですが、「飛行機などに乗って、長時間同じ姿勢をとって足が伸展できないと、下肢から重力に逆らって、心臓に戻る静脈の流れが悪くなり、血がかたまりやすくなります。 このような状態から、急に立ち上がったりすると、血のかたまり(血栓)が心臓から肺に行き(肺梗塞)、呼吸困難から、即呼吸停止まで様々な症状を引き起こす病態の事」が答えです。理解していただけたでしょうか? 肺に行く血流が悪くなるので酸素が不足し、多少の差はあれ自覚症状として必ず息苦しさを感じます。 地震時、避難中での狭い車の状態も、血液の停滞を起こしやすいという意味では、同じです。しかし、この病態はきわめてまれな疾患ですので過敏な心配は必要ありませんが、診断が難しく初期治療を怠ると致命的になりやすいという特徴があります。 次回は、予防法、肺梗塞が起こりやすい疾患等についてお話いたします。