以前前立腺肥大症と診断されましたが、最近は症状がないため放置しています。前立腺肥大症を放置すると、どうなりますか? 特に前立腺癌が心配です。
まるごと生活情報 2007年11月24日号掲載
今回から2~3回に分けて、前立腺に関してお話したいと思います。
以前この欄でお話ししたように、前立腺肥大症と前立腺癌は全く異なった病気ですから、前立腺肥大症を放置しても前立腺癌になることはありません。 しかし、前立腺肥大症を放置してよいとの根拠にはなりませんので、今回から2~3回に分けて前立腺に関してお話したいと思います。 前立腺は、男性のみにある生殖器で、解剖学的には膀胱の出口を取り囲むようにあります。精液の一部の液を分泌しますが、その正確な役割はよく分かっていません。 生殖機能として精子の働きを活発にすると言われています。40代から前立腺は肥大し始め、70才以降はほぼ100%組織的には肥大症を認めます。 何故肥大するか明らかな原因は判っていませんが、睾丸の出す男性ホルモンが関わっていることは間違いありません。 前立腺肥大症は良性疾患ですから放置しても初期は生命に別状はありません。前立腺が何らかの原因で肥大(大きくなる)すれば、膀胱の出口が狭くなり「尿が出にくい」「尿の勢いがない」「残尿感(排尿後も残った感じがする)」など物理的に尿の通り道が塞がれることによる症状が起こることは簡単に想像できます。 また、前立腺が膀胱の内側に肥大することにより、夜間頻尿などが生じると言われています。 次回は前立腺肥大症による症状についてより具体的にお話いたします。