以前前立腺肥大症と診断されましたが、最近は症状がないため放置しています。前立腺肥大症を放置すると、どうなりますか? 特に前立腺癌が心配です。3(※前回の続きです)
まるごと生活情報 2008年01月26日号掲載
今回は前立腺癌についてお話します。
前回まで、前立腺肥大症の症状、治療についてお話しました。 また、前立腺肥大症と前立腺癌は発生部位が異なる違う病気ですから、肥大症が癌になることはない、とも説明しました。 今回からは前立腺癌についてお話しますが、他の癌と同様前立腺癌による初期症状はまったくありません。また多くの癌と同じで、癌の原因は不明ですが、男性ホルモンが関与していることは間違いありません。 症状は合併する肥大症による排尿障害などです。癌による症状があるとすれば、癌が進行すると前立腺癌は骨に転移を起こしやすいという特徴があるため、転移部位の痛みが出ることなどです。私が医師になった26年前はこのような患者さんを多く経験し、骨の痛みで整形外科を受診後、進行性の前立腺癌と診断されることが多くありました。 近年は早期の前立線癌の診断が可能になりました。前立腺癌が世間に認知され始めたのは平成天皇の前立腺癌の発表からだと思います。 その後前立腺癌検診も全国的に広がり、長岡においても平成17年4月からは市の援助を得て開始されました。 前立腺癌の早期診断方法はここ数年で飛躍的に向上してきています。 これは血液検査で、「前立腺特異抗原」=「PSA」を鋭敏に測定することが可能になったためです。血液検査のみで早期の癌を見つけることができることは、他の胃、大腸、肺などでは見られないことです。 前立腺癌の特徴として、高齢者(65歳以上)に多いこと、一般的に進行速度が遅いこと、進行癌でも確立した治療方法があること、など他の分野の癌にない特徴があります。 特に75歳以上では、治療しなくても生命予後に影響のない癌が確実に存在します。 次回は前立腺癌の治療などについてもっと詳しくお話します。