以前、前立腺肥大症と診断されましたが、最近は症状がないため放置しています。前立腺肥大症を放置すると、どうなりますか? 特に前立腺癌が心配です。4(※前回の続きです)
まるごと生活情報 2008年02月23日号掲載
今回は前立腺癌の治療についてもっと詳しくお話します。
前回、前立腺癌の特徴として、高齢者(65歳以上)に多いこと、一般的に進行速度が遅いこと、進行癌でも確立した治療方法があること、など他の分野の癌にない特徴があるとお話しました。 特に75歳以上では、治療しなくても生命予後に影響のない癌が存在することが事実として確認されており、75歳以上の場合は癌と診断されても必要以上に心配しないことが大切です。 前立腺癌の治療は、手術療法、放射線療法、内分泌療法(わかりやすく言えば女性ホルモンを注射・内服)、そして少し難しくなりますが、無治療での経過観察、の4種類に大別されます。 一言に前立腺癌と言っても、病気の進行状態から4段階に別けられ、検診などで見つかり、癌が前立腺内だけにとどまっている(病期の1期と2期)場合では、前記のどの治療を選択しても、さほど予後は変わらないと言われています。しかし、癌が前立腺の外まで進行したり、他の部位に転移している場合(病期の3期と4期)は、手術の適応は少なく、内分泌療法の選択となります。 いずれにしろ、前立腺癌は一般的に高齢者に多いため、前立腺癌で亡くなる確率と他の病因で亡くなる確率との兼ね合いから治療方法を選択する事が大切です。そのためには、前立腺癌という病態を良く理解することが重要と思われます。 しかし、いくら必要以上に心配しないことが大切と言っても、進行癌になれば治療手段の選択肢が少なくなり、前立腺癌で亡くなる可能性も高くなりますので、早期に診断することが大切であることは間違いありません。ちなみに私の義父も前立腺癌と診断され、内分泌療法により診断後丸5年が経過していますが転移もなく元気に生活しています。 50才を過ぎたら毎年検診でPSAをチェックすることをぜひお薦めします。