最近、輸血による肝炎など血液に関することが話題になっています。一般的に血液検査などでわかる病気について教えてください(前回の続きです)。
まるごと生活情報 2008年04月26日号掲載
今回は肝炎ウイルスに関してお話しいたします。
前回、血液検査の結果だけでわかる病気には限りがあるということ、また、主に血液検査で確定診断できる病気としては、麻疹やB型・C型肝炎ウイルスなどを含めた特定の感染症、糖尿病・甲状腺疾患、花粉症などのアレルギー疾患……等があることをお話しました。 今回は肝炎ウイルスに関してお話しいたします。 肝炎ウイルスとは、肝臓に炎症を起こすウイルスの総称で、私が医師になった頃(昭和58年)は、A型、B型のみが発見されていて、それ以外は非A非Bと呼ばれていました。それはB型肝炎ウイルスを除いた輸血後も、約10%の人に輸血後肝炎が発生した事実からA型、B型以外にも何らかの原因があると考えられていたからです。その後平成元年頃、非A非Bの正体の多くがC型肝炎ウイルスであることが解りました。 現在ではC型以外にもA,B,C,D,E,F,G型等のウイルスが解っている様ですが、実際問題になるのはA型、B型、C型肝炎ウイルスの3つです。 感染経路は、A型は汚染された食べ物などから(いわば食中毒)、B、C型は血液を介して(輸血、注射針の回し打ち、入れ墨、出産など血液と血液が接することで)感染します。私が小学生の頃の集団予防接種は、同じ注射針で行われていたと記憶しています。以前は、集団接種とB型肝炎ウイルス感染の問題が、現在では輸血とC型慢性肝炎など、血液感染による病気が社会問題化しています。 ウイルスの特徴は、大腸菌などの細菌とは異なり、自ら細胞を持っていないためウイルスのみでは生きて行けず、他の生物の力を借りる必要があると言う事です。肝炎ウイルスは何故か肝臓に潜んでいることが好きな様で、人の肝臓の細胞の中で生きているのです。次回は、ウイルスによる肝炎の慢性化や治療などについてお話します。