最近、72歳になる父の「もの忘れ」が続いており、家族で心配しています。認知症というほどひどくはないと思うのですが、どの程度の症状になったら医者に連れて行けばいいのでしょうか?
まるごと生活情報 2008年10月25日号掲載
誰もが経験する物忘れと、病的な物忘れとの違いについてお話します。
物忘れは一般の人でもよくあることです。これは年齢とともに脳の機能が自然と低下するために起こる、老化という自然現象の一つであり病気ではありません。お年寄りに限らず多くの方々(私は52歳ですが)が、「テレビで見る芸能人の名前が思い出せない」「久しぶりに会った人の名前を忘れた」などの経験があると思います。また「2~3日前に食べた食事の内容が思い出せない」「どこに携帯電話を置いたか忘れた」など、年齢とは無関係な度忘れは誰もが経験するところです。これらの物忘れは病気ではなく、認知症による物忘れとは区別されます。 家族が心配する病的な物忘れの例えを列挙しますと、1.自分の年齢がわからない、2.簡単な計算ができない、3.食事の内容を忘れるのではなく、食事をしたこと自体を忘れる、4.物忘れをすることの自覚が乏しい、5.自分が何処にいるのかわからない、などです。 要するに、「物忘れが急速におこり、日常生活に支障が出る」と医師の診察が必要と思われます。これらの症状が見られたら、神経内科、精神科などの専門医を受診することをお薦めします。近年は、物忘れ外来などを標榜している病院もあります。 次回からは認知症について何回かに分けてお話しいたします。