1箱1000円……なんて話を聞くたびにタバコを止めたいと思っているのですが、なかなか禁煙できません。よい治療法はありますか?
まるごと生活情報 2008年12月27日号掲載
禁煙の動機付けをもう一度よく考えてください。必要なら禁煙をサポートする飲み薬、貼り薬もあります。
以前この欄で禁煙の方法、タバコの害についてお話しましたが、今回も私の経験から再度お話します。私も医学生時代(昭和52年)から平成11年2月まで、1日平均約20~30本タバコを吸っていましたし、飲酒時などはヘビースモーカーでした。昭和52年当時は医学部教室の廊下、大学病院の診察室には灰皿が置いてあり、一般の綜合病院も同じような状況でした。また、公共の乗り物、レストランなども吸いたい放題で、分煙権という言葉もない時代で、今では想像もつきません。 ご質問の件ですが、まずなぜタバコを止めようと考えたかを思い起こしてください。 医学的に言えば(すでに常識ですが)、タバコはたくさんの発癌物質を有しています。そのうちニコチン、タールが有名で、はっきり言えばタバコ=毒です。肺癌、咽頭癌はまずタバコが原因と断定してよいくらいです。禁煙することを、自分の健康のため自分自身で判断したのか、医師から忠告されたためなのか、やむなく職場が禁煙になったためなのか、をはっきりさせることが大切です。 私事ですが、田村クリニックを開業したのが平成7年9月で、これを契機にタバコを止めようとも考えましたが、結局平成11年まで吸い続けたことになります。しかしながら、咳が止まらないなどと訴える患者さんに、自分がタバコ臭く、患者さんに禁煙を薦めるのも説得力に欠けると思い、医師としての立場から平成11年2月のある日を境にきっぱり喫煙を止めました。 家族のためとか、新年を迎えることを契機にするとか、動機付けをはっきりさせると意外とうまくいきます。しかし、タバコを吸うことはニコチン中毒症で、薬物依存症という病気です。医学的に治療薬もありますが、安易にニコチンガム等に頼るのは危険ですので、一度かかりつけ医に相談してみてください。