新聞報道によれば、猛暑による熱中症で病院に運ばれた人の数は全国では7月下旬の1週間で1万人近くになり、死亡者も出ているようです。特に死亡者の7割近くが高齢者ということですが、何故高齢者に多くなりやすいのですか?
まるごと生活情報 2010年08月28日号掲載
熱中症にはこれといった特異的な症状がないため、65才以上の高齢者は風邪などと軽く考え重症になることが多いからです。
熱中症とは、暑い環境で起こる様々な体の不調であり、暑さで血管が拡張することにより起こるめまいなどの症状から、脱水(水分が不足した状態)のために生じる血圧の低下や脈拍が早くなる状態まで、症状にはかなりの程度の差があります。最悪の場合は体温が正常に戻らず(40度以上になり)死亡することもあります。
熱中症の本質は、体の発熱によるものです。発熱時、体は汗をかいて熱を逃がし体温を下げようとします。汗がたくさん出て脱水症状になれば、水分補給により体のバランスは保たれ命に関わることはありません。熱中症の症状は、1軽症の場合は、めまい、立ちくらみ、手・足の筋肉の痙攣等ですが、2中等度になると、頭痛、嘔吐、強いだるさなどを感じ、3重症になれば、フラフラして立てない、意識障害などが現れ、生命に危険な状態となります。軽症な時期、または症状のない時期に、こまめにスポーツ飲料水などを補給すれば、頭痛、嘔吐、さらにはふらつきなどの熱中症の重症化を予防できます。
高齢者の場合、熱中症が室内で起こることが少なくありません。その原因の一番は、1体調が優れず調子が悪くても、「まさか熱中症の初期症状である」と気づきにくい事です。次に2高齢者はエアコンを嫌う人が多い。3体調が悪いのは暑さなどの環境より持病に原因があると勘違いしやすい。4頻尿や尿漏れを気にして水分摂取量が少ない。5体温の調節機能が低下している。6さらに、認知症などを合併すると喉が渇いた状態を自覚することが難しく水分を取ろうとしない、など様々な原因が考えられます。
軽いめまい、だるさなど「えっ!こんな症状が?」と思われることが熱中症の初期症状であることがあります。熱中症は死に至る病気である事を充分認識し、軽く考えないようにしたいものです。