健康診断でPSA値の異常があり、「要精密検査」と指摘されました。PSAについて教えてください。
まるごと生活情報 2011年06月25日号掲載
PSA検診は前立腺がんの早期発見に役立ちます。前立腺がんとPSAについて何回かに分けてお話します。1回目:前立腺がんとPSAについて/2回目:PSAの年齢による変動について/3回目以降:PSAに関する最新の見解について
前立腺がん、特に「前立腺」という言葉が、世間に認知され始めたのは平成15年の天皇陛下の前立腺がんの発表からだと思います。それまでも前立腺検診という言葉はありましたが、他の5つのがん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん)に比べて影の薄い分野でした。最近ではタレントの間寛平さんの病名告白が有名ですが、それ以前も故三波春夫氏、プロゴルファーの杉原照雄氏など、近年前立腺がんの頻度はますます上昇し、メディアでも多く取り上げられています。
PSAとは血清前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)の略号です。男性特有の臓器である前立腺からでる血液中のPSAを測定することによって前立腺がんを早期に発見し、がんによる死亡率を低下させることが出来ます。PSAは本来血液中には高い濃度では存在しませんが、前立腺がんになると、多くの場合で血中濃度が上昇し、国際基準ではPSAの値が4ng/ml以上となります。
では、逆にPSAが4ng/ml以上なら、前立腺がんがあるかと言われれば、そうではありません。しかし、PSAがある値を超えた場合前立腺がんを疑う根拠となるため、PSAの値を診て「要精密検査」と指摘されるのです。
PSAの正常値は年齢により異なるとされ、次回はPSAの年齢による変動値についてお話します。