健康診断でPSA値の異常があり、「要精密検査」と指摘されました。PSAについて教えて下さい。3(※前回の続きです)
まるごと生活情報 2011年08月27日号掲載
PSA検診は前立腺がんの早期発見に役立ちます。前立腺がんとPSAについて何回かに分けてお話します。※今回は3回目です。
1回目:前立腺がんとPSAについて/2回目:PSAの年齢による変動について/3回目以降:PSAに関する最新の見解について
前立腺がん検診の目的は、前立腺がんによる死亡数を減らすことです。今まで2回に分けて、前立腺がん検診の有用性についてお話しました。まとめると、「男性特有の臓器である前立腺から出る血液中のPSA(Prostate Specific Antigen)=前立腺特異抗原、を測定することによってがんによる死亡率を低下させることが出来る」ということです。
今後、前立腺がんによる死亡率の上昇が確実に予測されている現状の我が国において、50歳を過ぎればぜひ年1回のPSA検診をお勧めします。
しかしPSA検診の問題点もいくつかあります。それは①PSA値の国際標準となるものが正確には存在せず、検査方法によりPSA値に誤差が生じることがある。②国際基準ではPSAの正常値は4ng/ml未満とされているが、はっきりした根拠は不明である。③PSA値の上昇を示すのは、前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症、前立腺炎でもみられ、決してがん特異性ではない。④例えPSA検査で異常値があっても、前立腺の組織検査ではがんが見つからない場合がある、などです。
今後の課題として、PSA値異常の検診者から、いかに無駄なく「精密検査」が必要な人を鑑別する事が出来るか、ということが大切と思われます。(参考文献:前立腺癌診療ガイドライン)