猛暑による熱中症で死亡者も出ています。患者さんの多くが高齢者のようですが、熱中症が高齢者に多い理由を教えてください。
まるごと生活情報 2013年08月24日号掲載
熱中症についてお話します(今回は熱中症に関する質問が多いため、以前お答えした文面を再掲載します)。
熱中症とは、暑い環境で起こる様々な体の不調であり、暑さで血管が拡張することにより起こるめまいなどの症状から、脱水(水分が不足した状態)のために生じる血圧の低下や脈拍が早くなる状態まで、症状にはかなりの程度の差があります。最悪の場合は体温が正常に戻らず(40度以上になり)死亡することもあります。
熱中症の本質は、体の発熱によるものです。発熱時、体は汗をかいて熱を逃がし体温を下げようとします。汗がたくさん出ても、こまめにスポーツ飲料水などの水分補給を行えば体のバランスは保たれ、熱中症を起こすことはありません。
熱中症の症状は①軽症の場合は、めまい、立ちくらみ、手・足の筋肉の痙攣等ですが、②中等度になると、頭痛、嘔吐、強いだるさなどを感じ、③重症になれば、フラフラして立てない、意識障害などが現れ、生命に危険な状態となります。軽症な時期、または症状のない時期に、こまめにスポーツ飲料水などを補給すれば、頭痛、嘔吐、さらにはふらつきなどの熱中症の重症化を予防できます。
高齢者の場合、熱中症が室内で起こることが少なくありません。その原因として①体調が優れず調子が悪くても、「まさか熱中症の初期症状である」と気づきにくい。②高齢者はエアコンを嫌う人が多い。③体調が悪いのは暑さなどの環境より持病に原因があると勘違いしやすい。④頻尿や尿漏れを気にして水分摂取量が少ない。⑤体温の調節機能が低下している。⑥さらに、認知症などを合併すると喉が渇いた状態を自覚することが難しく水分を取ろうとしない、など様々な原因が考えられます。
軽いめまい、だるさなど「えっ!こんな症状が?」と思われることが熱中症の初期症状であることがあります。熱中症は死に至る病気である事を充分認識し、水分補給を怠らないようにしたいものです。
なお、水分補給は水道水ではなく、汗などで失われるナトリウム(塩分)を含んだスポーツ飲料水をお勧めします。