最近、テレビのCMで「肺炎予防に、肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けましょう。特に65歳以上の高齢者の方はお医者さんに相談してみましょう」と宣伝していますが、肺炎球菌ワクチンについて教えてください。
まるごと生活情報 2014年01月25日号掲載
肺炎球菌ワクチンには、生後2ヵ月から定期予防接種として行われている小児用肺炎球菌ワクチンと、高齢者向けワクチンの2種類があります。どちらも肺炎球菌による重症感染症を予防することが目的です。
肺炎球菌はその名前の通り肺炎の原因となりますが、喉の奥など人の体や、日常生活に存在する菌です。多くの人は、菌に対しての抵抗力があり、さほど問題になることはありません。
ただし、高齢者など体の抵抗力が弱くなれば、肺炎、髄膜炎、中耳炎などの感染症の原因になります。 現在、肺炎は日本人の死亡原因の第3位で、しかも肺炎の死亡数の約95%は65歳以上の高齢者で占められています。65歳、の理由はここにあります。また、肺炎の原因の約30%が肺炎球菌によるものです。
肺炎球菌ワクチンにより、肺炎球菌による感染症の重症化を予防できます。接種対象者は、65歳以上の高齢者や糖尿病、呼吸器、心臓病、癌などの基礎疾患がある人、などです。1回接種すれば約5年間効果があるとされます。 ただし、肺炎予防には予防接種の他に①規則正しい生活をする②細菌が体に入り込まないよう手洗い、うがいをする③歯磨きなどで口の中を清潔にする、ことが大事です。
(参考文献 成人予防接種のガイダンス 日本内科学会雑誌 第101巻 第12号)