4~5年前から、咳をしたり、急に立ち上がったりすると尿が漏れます。また、急に尿意を感じてトイレに行く途中間に合わないこともあり心配です。尿漏れについて教えてください。(長岡市58歳女性)※前回の続きです。
まるごと生活情報 2015年01月24日号掲載
尿失禁の分類と治療法について2回に分けてお話します。今回は2回目です。
前回、尿失禁とは、尿が自分の意志とは無関係に漏れる状態で、①腹圧性尿失禁②切迫性尿失禁③混合性尿失禁④溢流性尿失禁⑤機能性尿失禁、に分類される、とお話しました。今回は中高年の女性に多く見られる切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の治療についてお話します。
切迫性尿失禁は、突然強烈な尿意を感じ(尿意切迫感)、トイレに行く途中で排尿するのが間に合わずに尿が漏れる状態で、多くは膀胱に問題があるために生じます。治療は、①行動療法として、水分やカフェイン接種を控える生活指導や、少しずつ排尿間隔を延長することにより膀胱容量を多くする膀胱訓練、が有効です。②膀胱の収縮を抑える薬を内服する薬物用法では、現在様々なお薬が開発され、尿失禁が劇的に改善するようになりました。
腹圧性尿失禁は咳、くしゃみ、急に立ち上がる、などの腹圧が急にかかる動作によって生じる尿漏れで、多くは膀胱の出口の尿道に問題があり、子どもを産んだ経験のある中高年の女性に多く見られます。治療は切迫性尿失禁と重なる部分がありますが、重症の場合は手術が必要となることもあります。
尿漏れは、いつ頃から、どのような時に、どのくらい漏れるのかを十分把握し、どの尿失禁の分類に当てはまるのかを正しく診断できれば十分コントロール可能です。生活の質を良くするため、恥ずかしがらずに医療機関を受診することをお勧めします。