「うつ」や「男性更年期」と間違えられるという「LOH(ロウ)症候群」について教えてください。
まるごと生活情報 2011年02月26日号掲載
LOH症候群とは、「男性ホルモンが一定の基準以下に低下して起こる様々な症状を伴う疾患」の総称です。
今回はまずLOH症候群の定義と症状についてお話します。LOHとはlate-onset hypogonadismの頭文字で、日本語訳としては、加齢男性性腺機能低下と訳し、LOH症候群とは、「加齢により男性ホルモンが一定の基準以下に低下して起こる様々な症状を伴う疾患」です。
つまり、大前提として、男性ホルモン(特にテストステロン)の低下が認められることです。様々な症状とは1集中力の低下、抑うつ気分などの精神・心理症状2筋力低下、疲労感、睡眠障害などの身体症状3男性機能低下などの性的症状、など、まさに様々です。
男性ホルモンは20歳代をピークに低下していきますが、50歳以降でも精巣機能は残り、この変化は個人差が大きいと言われています。近年、マスメディアで男性更年期障害、LOH症候群という言葉が頻回に使われ、男性の健康を考える良い機会になっていますが、「うつ状態」、「男性更年期障害」、「LOH症候群」は、「元気がない」「抑うつ気分」などの心療内科的症状でオーバーラップする部分が多く、加齢の定義もあいまいで、明確に区別できないのが現状です。男性更年期障害=LOH症候群ではありませんが、かなりの部分で症状は重複しています。ただし、LOH症候群とうつ病とは異なります。
診断治療には、泌尿器科専門医と、心療内科医の連携が必要で、検査治療は帝京大学医学部附属病院泌尿器科のメンズヘルス外来などのような専門外来に頼るのが現状で、当院では治療を行っていません。次回は男性更年期障害についてお話します。