秋の検診で尿に血が混じっていると指摘されました。特に自覚症状はありませんが、血尿について教えてください。2(※前回の続きです)
まるごと生活情報 2011年12月24日号掲載
血尿とは、尿中に赤血球が増加した状態と定義されています。血尿に関して何回かに分けてお話します。1回目:血尿とは 2回目:血尿の原因について 3回目:血尿に関する考え方について。今回は2回目です。
1回目は、血尿の定義についてお話しました。血尿とは、尿中に赤血球が増加した状態であり、肉眼で見ても尿が赤色、ないし茶褐色になる「肉眼的血尿」と、質問者の様に尿検診ではじめて発見される「顕微鏡的血尿」に大別されます。
今回は血尿の原因についてお話します。
尿は、もともと血液中の老廃物が腎臓で濾過されて作られ、腎盂、尿管、膀胱、尿道などの尿の通り道(尿路)を通って体の外に排出されます。これらのどこかに異常があれば血尿の原因となり得ます。つまり血尿の原因は、 1.血液を濾過する腎臓そのものに異常がある場合 2.腎臓の濾過機能には異常が無くても、尿が作られた後の尿路に変化がある場合 3.腎臓・尿路には異常が無くても、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合、等に大別されます。
1の場合はたんぱく尿を合併することが多く、腎炎などの腎臓内科的疾患が考えられます。
2の場合は、腎臓・膀胱等の結石、腫瘍、感染など、まずは泌尿器科的疾患を念頭に検査を行います。例えば膀胱癌の患者さんの80%以上は血尿が主たる症状ですし、尿路結石の大部分はお腹の痛みなどを伴い、また膀胱炎も程度の差により血尿を伴います。
このように、血尿を指摘された場合、症状のあるなしにかかわらず、年齢、性別により治療を必要とする病気が隠されている可能性があり、どの様な考えで検査を行うか、次回血尿に関する考え方のまとめをお話します。