4~5年前から、咳をしたり、急に立ち上がったりすると尿が漏れます。また、急に尿意を感じてトイレに行く途中間に合わないこともあり心配です。尿漏れについて教えてください。(長岡市58歳女性)
まるごと生活情報 2014年12月27日号掲載
尿失禁の分類と治療法について2回に分けてお話します。今回は1回目です。
尿失禁とは、尿が自分の意志とは無関係に漏れる状態です。下着がぬれるため、尿臭など社会的、衛生的に問題となります。尿失禁は①腹圧性尿失禁②切迫性尿失禁③混合性尿失禁④溢流性尿失禁⑤機能性尿失禁、に分類されます。
①の腹圧性尿失禁とは、咳、くしゃみ、笑う、重いものを持つ、急に立ち上がる、などの腹圧が急にかかる動作によって生じる尿漏れで、多くは膀胱の出口の尿道に問題があり、子どもを産んだ経験のある中高年の女性に多く見られます。
②の切迫性尿失禁は、突然強烈な尿意を感じ(尿意切迫感)、トイレに行く途中で排尿するのが間に合わずに尿が漏れる状態で、多くは膀胱に問題があるために生じます。男女とも加齢に伴って発生頻度は増加します。
①と②を合併したものが③の混合性尿失禁で、腹圧性尿失禁の女性の約30%は切迫性尿失禁を合併すると言われています。 ④の溢流性尿失禁は、膀胱に貯まった尿を出し切ることが出来ず、たらたらと漏れてくる尿失禁で、前立腺肥大症による残尿の増加、糖尿病などによる膀胱支配神経の障害などが原因となります。
⑤の機能性尿失禁とは、歩行障害などでトイレまで間に合わない、または認知症でトイレの場所がわからない、などで生じる尿漏れの状態です。
次回は尿失禁の治療についてお話します。